相続不動産の評価方法と相続税を安くするためのポイント

相続税対策の中で、相続不動産の査定額は重要なポイントです。不動産は相続財産の中でも価値が高いため、専門家に相談して各種特例を活用し、適切な評価をすることで相続税の負担を大幅に抑えることが可能です。

相続税対策では相続不動産の評価が重要

相続不動産の評価額によって、相続税の額は大きく変化します。また、相続不動産は、さまざまな特例などによって控除を受けられます。相続不動産を適切に評価し、相続税の負担を減らすにはどうしたらよいのでしょうか。

相続税の負担を抑えるためには、相続不動産の評価額をいかに低く抑えるかが重要なポイントです。

評価額の計算方法は決まっていますが、土地にはそれぞれ個性があります。同じ土地は二つとして存在しませんので、評価額の減額要素をきちんと反映させて正しい評価をすることが税理士の仕事であり、専門知識の見せどころです。

相続する土地の評価額の計算方法

土地は1物四価(いちぶつよんか)と言われることからもわかるように、その価値を査定するのが難しい不動産です。

1物四価とは

1物四価とは、次の4つの価格評価のことを指します。それぞれ用途が違い、相続税の計算では税理士が相続税路線価(または倍率方式)を用いて計算します。

4つの価格評価

内容

決定する機関

価格の目安

実勢価格(時価)

土地の売買が成立した際の実際の価格

売り主と買い主

需要と供給のバランスにより価格は上下する

公示時価

一般の土地取引価格の指標となる

国土交通省土地鑑定委員会

土地本来の価値であり基本的には実勢価格と同等

固定資産税評価額

固定資産税・不動産取得税・登録免許税などの税金の計算に用いる

各市町村

公示価格のおよそ70

相続税路線価

贈与税や相続税の計算に用いる

国税庁

公示価格のおよそ80

公示価格が土地本来(更地)の価値といえますが、実際に売買する際には、その時期や、周囲の状況や売り主と買い主の希望などによって価格が変動しますので、これが実勢価格となります。

固定資産税評価額は、原則的には所有者(借地人・借家人を含む)のみに公表されるもので、固定資産税の納税通知書で確認できます。

また、土地の価格評価は、都道府県の公表する基準標準地価と併せて一物五価と言うことや、さらに競売などで使用される売却基準価格を加えて一物六価などと表現されることもあります。

相続税路線価の確認方法

相続税路線価は路線価図で確認します。路線価図は国税庁が毎年11日時点の評価額を算定し、8月ごろ発表します。土地の所在地を管轄する税務署で閲覧できるほか、国税庁のホームページで簡単に検索できます。

路線価図の見かた

路線価図では、地図上の道路に数字とアルファベットが書いてあり、1㎡あたりの価格が千円単位で表示されています。

例えば「215D」だと1㎡あたり215,000円の土地ということです。数字のあとについているAGのアルファベットは、借地権の計算をするときに用いる借地権割合です。自用地の場合には関係ありません。

路線価の設定されていない土地は倍率方式で

路線価はすべての土地に設定されているわけではありません。全国のすべての道路に路線価を設定することは困難だからです。そのため市街地から離れていると、路線価図に路線価がのっていないことがあります。

路線価の設定がない土地では、固定資産税評価額に一定の倍率を乗じた価格を用います。これを倍率方式といいます。この倍率は評価倍率といって、評価倍率表に載っています。評価倍率表は、路線価図と同じく国税庁が発表します。

評価倍率表の見かた

宅地の場合、評価倍率表の該当する住所の宅地欄の数字が固定資産税評価額に乗ずる倍率です。倍率ではなく路線と書かれている場合には路線価を用いますので、路線価図を確認しましょう。例えば「1.1」と表示されている場合には、固定資産税評価額に1.1を乗じた金額が相続税評価額となります。

固定資産税評価額は一般に相続税路線価よりも低い価格に設定されているため、この倍率によって調整するのです。

遺留分の計算時は取引時価を使う

相続税評価額は、相続税や贈与税を算定する際に用いる土地の価格です。その他の相続手続きにおいては取引価格などを用いますので注意しましょう。

例えば遺留分(相続人に最低限保証されている財産を取得する権利)の計算をする時には実際の取引価格を時価とします。遺産分割協議で遺産分割割合を決める際も、取引価格相当を土地の時価とすることが多いでしょう。

相続税路線価の計算方法

相続税路線価は、「面積×路線価×補正率」で計算します。

路線価は国税庁が公表していますので、その価格に土地の面積をかけると大まかな相続税路線価を算出できます。ただし実際には道路への接地状況や土地の起伏や奥行きなどの土地の個性によって金額の補正が必要です。

土地の面積を確認する

相続した土地の面積は、固定資産の納税通知書で確認できます。「地積」という欄に載っています。ただし必ずしも正確とは限りませんから、面積が違う疑いのある場合には測量で確定する方法もあります。複数人で共有している土地の持分は、登記簿謄本で確認しましょう。

土地の正確な面積を把握するために必要な書類

書類名

用途

入手方法

固定資産税の納税通知書

相続した土地の面積を知る

市区町村から毎年届く

登記簿謄本

相続した土地の持分割合を知る(土地を複数人で共有しているときのみ)

法務局

路線価の計算例

路線価の実際の計算例をみてみましょう。

1㎡あたりの価格が390,000円・土地の広さが1,000㎡の場合、

390,000×1,000㎡=390,000,000

となり、390,000,000円が相続税評価額です。

実際には、土地の個別事情を斟酌(しんしゃく)する必要がありますから、これらの価格に補正率を乗じた価格を相続税評価額とします。

倍率方式の計算方法

倍率方式では、「固定資産税評価額×評価倍率」で計算します。

固定資産税評価額は固定資産税の納税通知書で確認します。

固定資産税評価額が350,000,000円の土地で評価倍率が1.1とすると、

350,000,000×1.1385,000,000

が相続税評価額です。

路線価の補正要素

路線価の計算は単純ですが、補正率で評価額は大きく変動します。つまり、節税のためには評価額の減額要素をいかにきちんと反映させられるかが重要なポイントです。

通常税理士が現地へ赴き、土地の細かな個性まで把握して減額要素を反映させます。この補正率は担当する税理士によっても違いがでるほどに難しい評価ですので、節税にいかすのなら専門知識の豊富な税理士に任せると確実です。

ここでは、主に宅地用の土地の評価額に影響を及ぼす代表的な要因をあげていきます。

土地の形状

相続税路線価は、きれいな四角い形をした土地を想定して定められたものです。ですから、以下のような土地の場合には補正率をかけて計算され、評価額を減額できます。

•奥行きが短い、または長い土地

•間口(道路に面した部分)が狭い土地

•正方形や長方形でない、いびつな形になっている宅地

•がけ地を含む土地

接している道路との位置関係

土地が接している道路との位置関係も価格への影響が大きいため、減額要素になり得ます。

土地が道路に接していない土地は無道路地といい、評価額は大きく下がります。

2つの道路に挟まれた二方路地や角地より、一方のみが道路に面した中間画地の方が一般的に評価額はさがります。

道路の接地部分が北側だと、日当たりが悪くなることがあり、さらに評価額がさがることもあり得ます。

また、土地がひな壇になっている地域では、道路が宅地よりも高い場所にあることで日照や通風に問題がでる可能性もありますので、評価額が下がる場合があります。

土地の利用価値が低いとされる場合

土地の利用価値が低いと考えられる場合には、評価額を減額できる可能性があります。

日照・通風などの問題だけでなく、異臭・騒音・振動・近くに墓地があるなど、宅地として価値が下がる可能性があれば減額要素となり得ます。また、地盤に凹凸がある、道路との高低差が激しいなど、造成に費用がかかるような土地も評価額の減額が可能な場合があります。

倍率方式の補正要素

倍率方式の倍率は、固定資産税評価額をその土地の実情に近づけるために一定の地域ごとに定められています。また、土地それぞれの事情は固定資産税評価額の算定時に、すでに加味されています。

そのため基本的には倍率方式に補正要素は加味しませんが、「宅地比準方式」を用いるような特殊な土地では、補正率を使用することもありますから注意しましょう。

相続する建物の評価額の計算方法

相続する建物の評価額は、固定資産税評価額と同等です。

もしも建築中に相続することになった場合は、固定資産税評価額がまだ定められていませんので、課税時の建築の費用原価の70%を評価額とします。

相続時に他人に建物を貸している場合は、借地権が発生していますので固定資産税評価額から借地権を引いた額が相続税評価額です。

固定資産税評価額の評価替えは3年と期間が長いため、増改築を行ったあと、その増改築分の資産価値が固定資産税評価額に反映されないまま相続となるケースもあります。その場合には、増改築費用から減価償却費相当額を引いた額の70%を増改築分の評価額とします。

また、まれに役所が認識していないなどの事情で固定資産税評価額のない建物も存在します。その場合一般的には、建物の再建築価格から減価償却累計額を引いた額の70%を評価額とします。

門や堀、庭園設備などは建物の評価額とは別に計算します。門や堀は再建築価格に経過年数による定率法の残価率を乗じたものを評価額とします。

庭木、庭石、東屋などの庭園設備は、調達価格の70%相当を評価額とします。

相続する建物

評価額

一般的な建物

固定資産評価額と同じ

建築中の建物

建築費用額の課税時の原価×0.7

固定資産評価額に反映されていない増改築部分

(増改築費用-償却費相当額)×0.7

固定資産税評価額のない建物

(建物の再建築原価-償却費相当額)×0.7

門や堀

再建築価格×定率法の残価率

庭園設備

調達価格×0.7

不動産評価で相続税を安くするためのポイント

土地や建物などの不動産を相続する場合に、不動産評価により相続税を安くするポイントをまとめます。

相続不動産の条件・特徴をふまえ、正しく減額された適切な評価をする

相続した土地は、さまざまな減額要素を探し出し、評価額に反映させることで相続税を安くできます。

また、相続した建物は、その用途や付随する設備を正しく査定し、評価額を減額する特例を適用することで相続税が安くなります。

ただし土地の減額要素を探すことや、個々の相続の事情を考慮して一番適切な相続方法を判断するのは難しいものです。しかも相続税の特例の適用範囲はたびたび改正されるため、素人の判断で正しいと思って選択した節税方法が、実は間違っていたなどという危険もあります。

不動産の相続税を抑えるためには、税理士に相談し、適切な評価方法と適切な相続方法(遺産分割の割合など)を知ることが必要です。

小規模宅地等の特例を利用する

小規模宅地等の特例は減額率が高いため、自宅の土地や事業を営んでいた土地にこの特例が使えることで、多くの方が相続税の負担を大幅に抑えることができます。相続税が実質無料となるケースも多々あります。

条件を満たせば宅地の評価額が80%減額できる

決められた条件を満たし、小規模宅地の特例を適用すると、居住用の宅地は330㎡、居住・事業併用の宅地は730㎡を限度として、評価額を80%減額できます。(平成27年度より)

小規模宅地の特例を受けられる相続人は、被相続人の親族などです。配偶者は無条件で特例の要件を満たしますが、その他の親族は同居期間や、持ち家の有無などの細かな条件が決められています。

2世帯住宅として使用していた住居や、被相続人が老人ホームで死亡した場合に空き家となっていた自宅も一定の条件を満たすことで、この特例を受けられます。

相続不動産の評価は重要な相続税対策! 税理士に相談を

土地の相続税評価額の計算は単純なようで、とても難しいものです。土地の用途や広さによって特例もあります。また、被災した土地の特例などが新たに設けられることもあります。

素人では相続税評価額の計算で減額できる要素を見逃してしまい、不要な税まで支払うことになる可能性もあります。土地を相続した際は、税理士などの専門家へ相談し、正確に計算してもらうことをおすすめします。

相続税額の早見表

事務所概要

名  称アザレア税理士法人
業務内容

・創業・独立の支援
・税務・会計・決算に関する業務
・税務申告書への書面添付
・自計化システムの導入支援
・経営計画の策定支援
・資産譲渡・贈与・相続の事前対策と納税申告書の作成
・事業承継対策
・税務調査の立会い
・保険指導
・経営相談等

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<休業日> 土・日・祝日

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